2017年4月14日金曜日

民法(債権法)改正についての雑感

民法改正案が12日、衆院法務委員会で賛成多数で可決 今国会で成立する見通し


色々な見方がある改正だと思います。


時効に関する改正,利率に関する改正等は評価できるものだと思います。
(もっとも,時効・除斥期間に関する制度は,そもそも外国法の制度を歪めて導入した点, 現時点では合理性が失われている点からするともっと抜本的な変更をすべきだとは思いますが)


ただ,そもそも本改正に対する弁護士サイドのスタンスは,
消費者保護の拡充であったように思いますが,
消費者保護を真剣に考えていた学者は途中で排除され,
大企業の意向に沿った改正案に迎合してしまったようなきらいがあります。
(『民法改正に関わった弁護士です』とうたう宣伝が増えることでしょうが, 違和感を感じます。あくまでも私個人の感想ですが。)


経営者保証に関しての改正も, 一体それで何の意味があるのかという疑問を抱かざるを得ないものになっています。


実務上大きな影響がでるのは利率の部分ぐらいで それ以外は結局さほど変わらない(骨抜き改正)と予想されますが, 与えられたカード・条件の中で,どれだけ合理的で公平な裁判例を積み上げられるかが 重要になると思います。

2017年4月12日水曜日

法定相続情報証明制度に関する雑感

●省令案概要
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000152142


●法定相続情報証明制度とは


・概要


A:相続人の確定作業は意外と大変で,
本籍地の変更や身分関係の変更が多い場合,
取得すべき戸籍の量・取得にかかる手間は膨大になります。


B:また,各銀行・保険会社毎に戸籍の原本を提出しなければならず,
さらに手間も費用もかかります。
提出を受けた銀行・保険会社側も確認に相当な手間と時間を要します。


C:現在導入が検討されている本制度は,
法務局に揃えた戸籍を提出し,法定相続情報証明書を発行してもらうことで,
Bの手間と時間を削減することが期待されています。


・雑感


導入理由は所有者不明土地・空き家の解消のためで,
相続登記を促進する仕組みとして提案がなされました。


そうはいいつつも 実務家が注目しているのは,副次的な部分,
Bの特に対銀行の事務処理の簡略化です。


実際のところ,各銀行・保険会社が法定相続情報証明書の提出だけで良しとするか明らかでなく(実務上預金債権が可分債権と考えられていた時期の対応からすると・・・)
実務が本当に変わるのかわかりません。


また,そもそもの提案理由は相続登記の促進であるわけですが, 実際は銀行や保険会社に提出する証明書だけもらって登記はしないという 結果になり,本来の目的を達するのは難しいようにも思います。


個人的には,徒に手間と費用の掛かる戸籍取得手続(A) の改善をもっと真剣に議論してほしいと思います。
戸籍1通450円 除籍1通750円
転籍している場合 各市区町村を回って集めなくてはいけない仕組み

東京 文京区 本郷の弁護士 柏木恭平 (東京弁護士会 柏木法律事務所)


2017年4月11日火曜日

「無料イラスト」で検索して出てきたサイトのイラスト利用⇒使用料請求

<情報提供・注意喚起>


「無料イラスト」・「フリー素材イラスト」等の単語で検索してでてきたイラストを
ホームページで使用していたところ,
突然使用料請求の通知がきたケース


インターネットの検索エンジンで表示されるように,
「無料イラスト」・「フリー素材イラスト」といったタグが付けられているものの,
利用許諾の部分を読むと事実上無料での使用ができない内容となっています。


イラスト公開者は,
グーグルの画像検索などで,使用しているサイトを容易に検索でき通知を送ってきます。


利用許諾を確認しなかったのが悪いとはいえ, 無料・フリーと誤解させるようなサイト構成になっている点については 問題があるのではないかと思われます。


インターネットの検索は便利ですが, 思わぬトラブルに巻き込まれることもありますので, 注意喚起になればということで情報提供しました。

東京 文京区 本郷の弁護士 柏木恭平 (東京弁護士会 柏木法律事務所)

ブログの移行と情報提供

・ブログの移行 一時期 wordpress を使用していましたが, 不具合・トラブルが多いためこちらに再度戻します。

2014年11月26日水曜日

弁護士法人プルーデンス法律事務所債権者集会の件

現在,ご依頼いただいた方々への期日報告書及び管財人から求められた書面の作成を行っておりますが, 上記書面については,HPやブログ等での公開は行わない予定です。 債権者集会に出席されなかった方,次回出席することができない方で, 管財人の報告内容についてお知りになりたい場合は,直接管財人宛にご連絡をお願いいたします。

2014年9月9日火曜日

とある債務整理広告の不思議8


不思議1 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/07/blog-post_6.html

不思議2 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_22.html

不思議3 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_23.html

不思議4 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_61.html

不思議5 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_25.html


不思議7 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/09/blog-post_7.html

 いいかげん長くなってきたのと,7不思議という言葉もあるので7つで区切りにしようかとも思いましたが,疑問は尽きないのでまだまだ投稿を続けようと思います。

>>先日指摘した不思議6ですが,予想通り該当ページにはアクセスできなくなりました。

 債務整理案件の経験がある弁護士であれば,
「任意整理の分割払い回数の最大が48回」などという広告はしないと思います(ド新人の弁護士でも3年(36回)~5年(60回)という一応の目安をしっていますから)。
 また,徹底減主義(10人中9人が債務整理で支払いの大幅減額を受けた」などという広告もしないと思います。
 
 弁護士が運営しているページという形にはなっていますが,コンサル会社が運営していて,弁護士は中身の確認を全く行っていないのではないでしょうか?(コンサル会社は弁護士法人プルーデンス法律事務所や弁護士法人響とも提携していて,宣伝広告業務のみならず,法律事務所にスタッフを派遣して電話相談対応(サポート?)まで行っているように見受けられますが)

>>前回の引用(一部補足あり)

今回はこの点に関連する広告をとりあげてみようと思います。

皆様は「弁護士法人フォーリーフ法律事務所」をご存知でしょうか?

弁護士法人プルーデンス法律事務所同様,代表弁護士は過去に懲戒歴があり,債務整理案件を主に扱っていたが,依頼者の預り金に手がつけられていて,今年の6月25日(プルーデンスの約1か月前)に破産開始決定を受けた事務所です。(なお,フォーリーフ法律事務所の代表弁護士が被害救済を行わず,別の法律事務所でいまなお弁護士登録をしていること,弁護士会が被害者救済に理解を示さないことから,被害者の怒りは相当なものであるという話を聞きました。)

では,この弁護士法人フォーリーフ法律事務所はどのような債務整理広告を行っていたのか?

http://sannou-law.com/landing3/?path=/home/sites/heteml/users156/i/i/z/iizuka/web/sannou-law.com/landing3

 「選ばれる理由その③」
  分割払いOK 最大48回の分割払いが可能 
   (*任意整理で3~5年という目安が示されていることに鑑みれば,
    弁護士費用等の分割払いの趣旨と解釈できる)

 「選ばれる理由その④」
  徹底減主義
   10人中9人の方々は毎月の支払金額が大幅に減額


ちなみに,
不思議6でとりあげた弁護士法人F&S(旧フェア&スクエア法律事務所。合併後:弁護士法人響)
の広告との違いは,

 弁護士費用等が最大48回払い ⇔ 残債務(業者への借金)が最大48回払い

           徹底減主義  ⇔ 徹底減主義

というように整理できます。


 
 東京都文京区本郷 柏木法律事務所 弁護士 柏木恭平 (東京弁護士会所属)

2014年9月7日日曜日

とある債務整理広告の不思議7

不思議1 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/07/blog-post_6.html

不思議2 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_22.html

不思議3 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_23.html

不思議4 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_61.html

不思議5 http://kyopeace0815.blogspot.jp/2014/08/blog-post_25.html


先日指摘した不思議6ですが,予想通り該当ページにはアクセスできなくなりました。

 債務整理案件の経験がある弁護士であれば,「任意整理の分割払い回数の最大が48回」などという広告はしないと思います。また,徹底減主義(10人中9人が債務整理で支払いの大幅減額を受けた」などという広告もしないと思います。
 
 弁護士が運営しているページという形にはなっていますが,コンサル会社が運営していて,弁護士は中身の確認を全く行っていないのではないでしょうか?(コンサル会社は弁護士法人プルーデンス法律事務所や弁護士法人響とも提携していて,宣伝広告業務のみならず,法律事務所にスタッフを派遣して電話相談対応(サポート?)まで行っているように見受けられますが)

 さて,本日の疑問は,こちらのサイトhttp://www.link-law.jp/lp/pc/saimu/gss2/

 例によってすぐ消されると思います。

 まずは,細かいところからみていきましょう。

 ① 他の法律事務所から譲渡を受けたドメインです。
  サーチエンジンで検索した際に上位表示される要素として,
  ドメイン保持期間があるようですが,そのせいでしょうか

 ② サイトを開くと,
 
   「大阪市在住 S.Aさん 30代会社員」

    という女性の写真が目に入り,
  
   「私は186万円あった借金がゼロに!」

    というPR分が下に記載されています。
    
 この写真は,http://fxselect.main.jp/http://yamakikai.com/ といったサイトでも使われているので,実際の依頼者の写真ではないのではないかとか細かいことを疑問視しているわけではありません。

 疑問なのは,サイト中央部に再度記載されているこの方の体験談です。
 

 「電話で相談してみたところ~なんと全額減らせるとのことでした。」


   「その話を聞いて,すぐ手続きをお願いしました(笑)」

   とあるのですが・・・・  

・・・弁護士との面談は全くしてないということですか?
    
 日本弁護士連合会では,債務整理事件処理の規律を定める規程を定め,
 弁護士が直接かつ個別の面談を行うことを義務付けていますが,
 指摘した広告では,日弁連の規定を無視していると受け取られないでしょうか?

 体験談ということなので,面談の部分の記載が省略されてしまっただけのでしょうか?
   (なお,体験談によれば大阪在住の方。弁護士法人F&Sの事務所は東京)

  そんな思いを抱きつつ,さらにサイトを見ていくと,

  「相談から債務整理の流れ」という図があります。

  この図をみると,

   「1.お電話かメールにて無料相談」

   「2..必要書類への記載」 
     確認書類や委任状をフェア&スクエア法律事務所宛てに郵送
     こちらの書類が届き次第、すぐに債務整理の手続きを開始

  となっていて,
  これでは,やはり,
  電話・メール郵送のやりとりだけで債務整理を行っているかのようで,
  弁護士が面談をしていないのではないかと思われてしまうのではないでしょうか?

     
 東京都文京区本郷 柏木法律事務所 弁護士 柏木恭平 (東京弁護士会所属)